今朝から霧のような雨が降り続いている。

気になってバルコニーに出ると、コリアンダーの種から、また2つ芽が出ていた。

この種はかれこれ1ヶ月も前に蒔いた。種袋には、気温が20度から25度で発芽すると書かれているが、その条件を満たす日は、もう何日もあった。それなのに、一向に芽が出ない。ジリジリとして待っていたが、昨日の朝、やっと発芽した。そして今日の雨だ。

朝顔も同じだ。5月の始めに一度芽が出たが、ひょろりとした[もやし]のような双葉で、結局育たなかった。そこでもう一度種を植え直したのだが、昨日から一斉に芽を出した。こんどの芽は見るからに元気がよい。そういえば3日前に採集して鉢に移植した雑草も、昨日までしおれていて、葉はひからび、ダメか思っていたが、さっき見たら生き返っている。他の鉢植えの草花も今日は活き活きしていると思うのは、気のせいだろうか?

植物はどういう条件であれば発芽するのか?農耕を始めたとき以来、人々は研究を重ねてきた。古くは季節の移り変わりを示す指標を頼りに種をまいたという。「山の雪が解けたら○○の種を蒔く」「桜が咲いたら苗を植える」などといった、土地ごとの[言い伝え]があった。自然科学が物理的な数値を扱ってものを考えるようになると、気温、水分(湿度)、日照時間(光)をコントロールすれば種は人間の思うがままに発芽する・・・という考えが生じた。実際、そうやって温室栽培がされている。農業に株式会社が参入すべし、という主張の陰にも、穀物や野菜の生産を工業化することが可能だという考えがあるのだろう。たしかに種を蒔き、水をやればそのうち発芽することが多い。学校の授業では、植物の生育に必要なものは[光と水と窒素リン酸カリ]と習った。しかしそれで植物を「コントロールできる」と思ったら、それは甘い考えだ。

 

種は想像を超えて外界の変化をつぶさに観察しているらしい。日光はどれくらい当たるようになったか。気温の上がり下がり。ある温度以上に達する日が何日続くか。空気は乾燥が続くのか。雨が降るのか。

これらの情報を種に仕込まれているシステムが受け取り、遺伝子のスイッチを入れる。しかし、うちの朝顔のように、うまく成長できないこともある。条件が揃わなかったために、成長に必要な遺伝子群の一部が働かなかったとも想像できる。

土中の水分ということでいえば、私は毎朝欠かさず水をやり続けた。それでも出なかった芽が、久方ぶりの雨、その前日から出た。それも勢いよく。雨になることを察知していたかのようだ。

じょうろから注ぐ水もシャワーには違いないが、それでは種の【心】には響かない。雨のちからは偉大だ。

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