ピッチクーイ ピッチクーイ
家の近くで今日も妙な鳴き声が聞こえて来た。
双眼鏡で探しても見つからない。というのも、いつも大木の中に隠れているからだ。生い茂る葉が観察の邪魔になる。
その正体は……
実はだいたい目星がついてはいる。いるのだが確証が得られないので、録音することにした。とは言っても録音機は持っていないので、マイクの音をパソコンに取り込む手段を取る。
MacBook Proには内蔵マイクがついているが、これは周りの全ての音を拾ってしまう無指向性のマイクだ。鳥の鳴き声のように一部の音をクリアに録音する場合には指向性マイクが必要となる。
ここから先しばらくは、パソコンで音声を録音する基本について書くので、デジタルは苦手という方は参考にしていただきたい。
写真のマイクはSONYのビデオカメラ用モノラルマイクECM-VG1。プラグとケーブルはミニプラグではなく、ケーブル長が長くなってもノイズを拾うことが少ない、バランス入出力のXLR端子になっている。
ところで、コンデンサーマイクは、コンデンサーに電圧を加えた状態で、コンデンサーの両極間の距離のわずかな変化がコンデンサーの静電容量を変化させる性質を利用して、音圧の変化を電圧の変動に変換するという原理になっている。感度が高いのが特徴だ。
ECM-VG1はマイク自体に電池を仕込む作りにはなっておらず、外部からの電源供給が必要なタイプだ。電圧はXLRケーブルを通じて加えられる。この電源を一般にファンタム電源という。
マイクから発生する電気の振動は波となってケーブルを伝わる。一方、現在のコンピュータが直接扱えるのはデジタルデータだ(「現在の」と断ったのは、コンピュータにはアナログ方式のものもありうるため)。ほとんどのパソコンには外部マイクなどの音声信号を入力する機能はついていない。
そこで、マイクから得られるアナログの波動をデジタル信号に変換してパソコンに送り込む必要がある。これを符号化(encoding)という。
今回のケースでは、マイクECM-VG1をUSBオーディオインタフェース経由でMacBook Proに接続する。
オーディオインタフェースはスタインバーグのUR12。こいつにはギター入力が1つとXLRマイクプリアンプ入力が1つあり、マイクに+48Vの電圧を供給できる。しかもプラグインパワーで動作するので、屋外に持ち出して使用することが可能だ。おまけにカタログ値で850gと大変軽い。A-Dコンバータは24bit/192kHzまで対応する。所謂ハイレゾの音源が録音できるというわけ。
ちなみにオーディオインタフェースはD-Aコンバータとしての機能も備えているので、映像編集時にオーディオを高音質でモニターしたい時にも重宝する。
録音の結果については次回。