ツクツクボウシ
セミの仲間は出現時期のピークをずらすことで、時間的に棲み分けていると考えられます。ところが、今年2020年は梅雨が8月上旬までずれ込んだためか、セミの羽化が遅れ、本来一番早いはずのアブラゼミよりも前にミンミンゼミの声を聞きました。遅れを取り戻そうというのか、夜中まで鳴く始末。なんだか忙しないように思われます。一方のアブラゼミはかなり個体数を減らしている様子。気になります。
そんな今夏のセミ世界。8月半ばとなり、ツクツクボウシが家の向かいにある神社の境内で盛んに鳴いています。
ツクツクボウシは胸が深緑色と黒の二色で、透明な翅(はね)の、美しいセミです。逃げ足が速く、声はすれどもなかなか捕まえることができないので、自分が子供だった頃は運よく手に入ると飛び上がって喜んだものでした。今の子もセミに興味を持つのでしょうか。
このセミは鬱蒼と茂った大木や川沿いの木の幹によくいます。その鳴き声を聞くと反射的に木陰と涼しい風を思い起こしてしまい、体感温度が1度は下がります。猛暑のせいで、上のマンガに描いたアホなことしか思いつかない私にとっては、ありがたい存在です。よーく聴いてみましょう。鳴き終わりにこう鳴いているはずです。
つくづくどっちでもええよー どっちでもええよー
なんという素晴らしいフレーズでしょうか。それにしてもこのセミが大阪出身だったとは、今の今まで気づかなかった。
ともあれツクツクボウシは秋の訪れを知らせるものでもあります。ついこの間、梅雨が明けたと思ったらもう夏は終ってしまうのか。それともきつい残暑が長く続くことになるのか。夏が短いのはいやだ。学校に通う人たちはCOVID-19の流行で夏休みが犠牲になっていると聞く。人間の貴重な成長の機会を守らないといけない。でもうだるような暑さは命の危険を感じる。この2択は悩ましい。